ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

奉仕の心で

あの日、真っ黒な濁流は全てを破壊しながら市街地にまで及んだ。水が引いてからというもの、現在に至るまで人々は連日その後片付け作業に追われている。人家など私有地であれば当然のことながら皆、率先してテキパキと片付けるが、主要道路に直接面さない公共区域ともなると話は別で、津波で運ばれてきたゴミが2ヶ月経っても放置されっぱなしの場所も多い。行政管理の手がいまだ及ばないためだ。

皆、力を合わせて近頃は気温も日に日に高くなり、日中は汗ばむ陽気に。そうなるとゴミの腐敗も一層進行し、街の衛生面の悪化がなにより懸念される。

この間、貞山掘に沿って歩いた時、「土手沿いに散乱している津波ゴミをなんとかしなくては…」と悩んだ私の呼びかけに賛同してくれた友人9名が15日に集まり、特にゴミの目立った区間の清掃活動を行いました。貞山掘は旧北上川に繋がる北上運河の横を流れる堀で、日頃よりジョギングやランニング、犬の散歩する地元住民達の憩いの水辺になっている。又、学校帰りの小中高生達にとっても格好の遊び場で、ヤングアングラー達が釣竿を担いで自転車で駆け付けては身近に釣りを楽しんでいる。

当初は「ゴミ拾い活動を自発的におこないたいので、集めたゴミを一か所にまとめますので市のほうで回収していただけませんか?」と行政に打診したものの、震災処理で日夜多忙を極めているために残念ながらその願い叶わず。

やるならば、ゴミの回収から市の指定する集積場への搬入まで一貫して自分達の力でしなければならない、というわけだ。

当日、奉仕の心を持って集まってくれたメンバーは県内に留まらず、岩手県盛岡市からも学生時代の友人が遠路駆け付けてくれた。実にありがたい。

土手沿いには津波の勢いで岸に打ち上げられたヘラブナやコイといった元々、ここに住んでいた魚達の死骸が散乱し既に無数のウジが湧いている酷い状況で、マスクをしているにも関わらず、激しく鼻をつく腐敗臭は深刻だった。それでも皆、黙々と取り除き、作業にあたった。

いまだ大量のゴミがそのままになっています又、清掃範囲は海からかなり離れている場所にも関わらず、スズキやハゼ、マルタウグイなど汽水域~海水域に棲む魚の死骸も想像以上に多く、ブイやフェンダといった船舶用品に家電用品、タイヤ、瓦礫や流木などの大型ゴミから衣類や靴などの一般物まで漂着していたゴミを全員で手分けして分別しながら拾い集めた。水深の浅い場所に沈んでいるゴミはウェーダーを着用して水中からもすくい上げた。朝から夕方まで汗だくになって拾い集めたその量は1tトラック4台分を超えた。なにぶん範囲が広範囲に及ぶため全域を一気にやることは困難だが、今後も少しでも早く津波ゴミを一掃出来るよう地道に清掃活動を続けていきたいと思っています。  やっぱり若手が率先して立ち上がらねば。

お集まり頂いた方々、どうもありがとうございました。

皆さんの善意に感謝。

また次回もご協力よろしくお願いします。

 

―夕方。作業の手を止めた時、水面につがいのカモが舞い降りた。

私は無性にうれしくなった。