ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

“男心”をくすぐる、なつかしの大物に出会う

一部の種類を除き、私は両生類が苦手な人間です。

基本的に柔らかくてブヨブヨしている生き物は昔から生理的にキツイ…。

「よくそれで釣り人やってられるよね(笑)」と周囲から驚かれることも度々あるけれど、カエル系は特に苦手で、今でもアマガエル1匹、オタマジャクシ1匹触る勇気もありません。…っていうか、ちょっと無理。

逆に小さい頃から物凄く興味があったのが昆虫と魚(特に日本産淡水魚と淡水熱帯魚)。次いで野鳥。なので、魚類以外は直接触るのは躊躇ってしまうのは今でも相変わらずですが、その生態や習性を調べて飼育したり、観察することは物凄く好きだったので、大人になった今でもその種類を特定することは結構得意な方です。

昆虫の中でも特に好きだったのは甲虫と水生昆虫。甲虫はクワガタ系とカミキリムシ系が、水生昆虫はミズカマキリ、タイコウチ、コオイムシ、ヤゴ、ゲンゴロウ、ガムシ、そして水生昆虫の最高峰にして王者・タガメは大好きで、よく飼育していました。特にコオイムシは成虫のペアリングに成功し世代交代もさせていました。小さい子供のコオイムシは凄く可愛くてね。

先日、早朝のフィールドに向かう途中に立ち寄ったコンビニの入り口に、一際大きなシルエットが目に留まった。

その正体は久々に見たシロスジカミキリ。

久々に見た、シロスジカミキリ。大型のカミキリムシで迫力満点です。シロスジカミキリは胴体(本体)も大きく、長い触覚までを入れた全長は数いる国内に生息するカミキリムシの中でも最大級の大型種として知られています。まさにカミキリムシ界の“大物”。本来、シロスジカミキリは夏の森林で見られる甲虫で、多くの虫を集めるクヌギの木を例にとっても、本種によって損傷した箇所から樹液が湧き出すことで、これにカブトムシやクワガタ、カナブン、オオムラサキなどが甘い汁を求めて飛来することも知られています。

近年では人々の生活圏のすぐ近くに、こういった森や林が隣接するところが年々減っていったため、今の子供たちはそうそう“夏の森の虫達”に出会う機会も少なくなったのではないでしょうか。

カミキリムシはご存じの通り、歯(口)が危ない。持ち方を間違えると噛みつかれてしまう場合があります。キボシカミキリ程度の大きさならまだチクッと痛い程度ですが、シロスジカミキリ級の大型種ともなると危険です。

野外活動、あるいはアウトドアスポーツの一環である「釣り」をしていると、魚だけでなく、色々な生き物達と出会います。昆虫や鳥はその典型ではないでしょうか。

季節によって釣れる魚に変化があるように、虫や鳥達も同様です。それぞれに出現時期というのがある。

そういった自然のサイクルを直接感じ取ることによって、季節の進行度(単に何月というのではなくて、自然の中の季節サイクル)が分かるようになります。知識も身につくようになります。

その世界を追求すれば追求していくほどに釣り人ってのはどうしても、その世界観が狭く、絞られた1本道になってしまいがちですが、その視野を自ら広げることで、まだまだ自分の知らない世界、自らの見地が及ばない世界が色々あるんだな、ということを実感させてくれる。

十数年振りに見かけたシロスジカミキリの堂々たる雄姿に、童心に返ったかのように心がときめいた、ある日の夜明けでした。

静寂な早朝の水面に、銀影が舞う。

真夏の夕暮れ、涼を兼ねて竿を振るのも乙なものだが、人より早起きして朝日を浴びながらの釣りも清々しいものだ。

この日はいつもとは趣向を変え、夜明けと同時に北上川へシーバスを狙いに行ってみる。

例年、北上川のシーバスは今時期は朝8時を過ぎると釣れないことはないものの、高気温のなか時間と体力を費やした割にはそれほどの釣果は期待出来なくなってしまう季節柄、予め時間を絞って早朝と日没後の時間に狙いを定めた方が効率がよい。当日も朝4時~7時までの3時間の釣行。

フックを外す際、口の中からは捕食済のボラの仔が沢山入っていた。「今日はこの辺をやってみようか」と川辺に立つとボラの仔を追う、シーバスのボイルが随所に見られた。岸際は水深60cm~1m足らずと浅いが、ボラの仔を際ギリギリまで追い込んで「ガボガボ」やっている。

 

北上川水系では70cm以上、とりわけ80cm~90cmを超す大型ともなれば、岸際の足元付近まではそうそう接岸してこない。余程、大量にベイトフィッシュが接岸し、かつ最適な流れが効いてない限りは、特にデイゲームではその傾向が顕著だ。どうしてもデカいのは沖目の流芯の中層以深でのヒットに集中しがち。よって飛距離も最低40m~50m以上は投げたい。

そのため、ミノーよりも遠投が効き、更に深場を通せる1ozクラスのバイブレーションプラグが圧倒的に好まれるのが、この水系の特徴でもある。ただし、40~50cmクラスのアベレージサイズ、せいぜい60cm台までであれば状況と時合によっては岸近くの上層まで魚が回って来るので、ライトタックルで存分に楽しむことが出来る。

朝一、川をパッと見た途端、すぐに車まで戻る。黙々と一発大型狙いに徹するもいいが、先に記した状況なら“それに応じた釣り方”もある、と考えたからだ。

と、いうのもタックルケースの中には常備しているミノーとバイブレーション、シンキングペンシルしか入っていなかったため、ペンシルベイトとポッパー、スイッシャーを補充して戻る。

東北の夏の川はシーバスも高活性。水面では相変わらず、激しい飛沫があちらこちらで上がり、あまりの興奮状態にシーバスが水面から勢いよく飛び出しながらボラの仔を捕食している。サイズはいずれもフッコ級と大きくはないが、その数は相当なもの。ご周知のように私の場合、実釣中は偏光グラスを欠かさず着用しているが、これだけの魚数が水面付近に集結していると偏光レンズ超しにシーバスがボラの仔を襲う瞬間が容易に見て取れるから、視覚的にも更に状況判断しやすくなる。

人影で魚を驚かせないように、岸際から少し離れたところから、1投目はペンシルベイトをキャスト。着水後、「チョン、チョン、チョン」とラインスラッグを操作しドッグウォーク・アクションをかける。

ルアーが岸際付近に差し掛かったころ、足元のブレイク下から「バシャーン!!」と派手な水飛沫が上がった。

狙い通り。ベイトフィッシュを飽食している魚群はサイズの割に引きが強い。フックを外す際、口の中からは捕食したボラの仔が2匹、3匹とそのまま入った状態にも関わらず、ルアーに次々にヒットしてくるのだから、どれだけ活性が高いかお分かり頂けるだろう。

心地よい横っ走りを味わいながら、バタバタと連発モードで釣れ続く。

2~3投に1尾はヒットする、まさに入れ食い状態をしばし堪能させてもらった。岸際はペンシルベイトで、少し沖に投げると水深が深くなるので魚を下から寄せる意味で使ったポッパーも良かった。淡水のバスとは異なり、動きの俊敏性により優れる海のフィッシュイーターを狙う時、ポッパーの場合はスプラッシュ(泡)のトンネルを作り、ルアーがその中に常に入っているようにすると見切られにくい。これはシーバスのみならず、オフショアのシイラや南海のGTの釣りにも通じること。それからペンシルベイトの動きに魚がやや警戒するようになってきたら、スイッシャーの出番。シーバスの世界ではあまり馴染みの薄いスイッシャーであるが、水面を意識しているフィッシュイーターを引き付ける能力は非常に高いルアーの一つと言えよう。ロッドのストロークを上手に使い、リッピングしながらルアーが浮上する際にペラが終始回り続けているように完全にテンションを抜かないように意識的にアクションを入れると、その最中に一撃で魚が引ったくっていく。

上:当日最も反応の良かったペンシルベイトと、ヒットしたシーバスが吐き出したボラの仔。まさにマッチ・ザ・ベイト。このように夜明け早々の短時間(夜明け後1時間が勝負!)ながら、とても良い釣りに恵まれたが朝6時になる頃にはシーバスの反応が急激に薄れていき、7時前には「シーン……」と完全沈黙するまでに至った。

 

先程までは、あれだけいたシーバスの群れが岸際から離れたのだ。ちょっとの時間でこれだけに差が出るから、状況の移り変わりは実にめまぐるしい。

こうなると北上川水系の定番的釣り方であるバイブレーション大遠投&底引きが有利になってくるが、本日は十分過ぎる釣果に早々に納竿。

“朝メシ前”に楽しめる今、ホットな釣り。

生粋のシーバスアングラーの方は勿論ですが、「シーバスをトップで釣ってみたい!」という方にもオススメです。

【朝起きは三文の徳】なり。

 

 ■タックルデータ

●ロッド:ソルティーステージ・シーバスSSS-902L

●リール:ステラ4000S

●ライン:バトルシーバスPE0.8号

●リーダー:ショックリーダープレミアムマックス20lb

●フック:ST-46、ST-47TG

●ルアー:ドッグ-X  SW、R.A.ポップ、バングオー

●偏光グラス:ZEAL OPTICS ヴァンク

●偏光レンズ:TALEX イーズグリーン

サンセットオレンジ

鮮やかな夕日に包まれる、北上川の下流。

辺り一面オレンジ色に染まるその瞬間は刻々と変化し、その一瞬一瞬が同じ色彩には戻らない。

北上川に沈む夕日

今日も無事に沈みゆく太陽を見送っていると、後ろの水辺からは小魚達がざわめく音が耳に入ってくる。今宵も彼らが動き出したようだ。ボラの仔を追って浅瀬に接岸しているセイゴを含む小型がバタバタと、ひとしきり釣れると、パッと辺り一面ふいに静かになった。

警戒心よりも好奇心の方が旺盛なセイゴやフッコ達は水面直下~上層をトレースするフローティングプラグに果敢にアタックしてくるが、小物釣りの延長線上にそれなりのサイズを混ぜていくことは、余程“数を釣らない限り”は難しい。

そこで、サイズアップをはかるべく沖目の中層以深のレンジを回遊しているシーバスに狙いを定め、フローティングミノーからバイブレーション系にチェンジ。40m~50m先の沖を遠投で狙う。時々、聞こえる「ガボッ」という単発の捕食音に過剰に意識を取られ過ぎずに、あまり上層を引かないように心掛ける。あくまで狙いは中層よりも“ちょっと下”のレンジ。北上川水系の河川では70cm以上のサイズとなると夜であってもバイブレーションの下層~底引きパターンは大変有効だ。

サイズは70cm強だが、体高があって魚が太いのでそれ以上のパワフルな引きをみせてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

フルスイングで飛ばし、じっくり沈ませてからルアーが必要以上に浮き上らない程度にゆっくりとしたリーリングでシーバスを誘う。しばらくすると「コン」と竿先に触れる小さなバイトをフッキングすると、バット付近から大きく曲がりラインが下流へ勢いよく出ていく。下げの流れも効いているのでより一層、抵抗が大きく感じられる。しばしのファイトの後、ランディングしたのはしっかりとした厚みと幅がある73cm。

その体型が物語っているように、ベイトを飽食した魚体はコンディション抜群。

 

 

 

 

 

 

サイズの割によく引いたので、もう少し大きいかと思ったが、一目で分かるそのベイトを飽食している魚体はグットコンディションそのもの。

街中を流れる川。

人の暮らしのすぐ隣にある川。

夕暮れからの短時間で、これだけの魚と巡り会えるのもシーバス釣りの魅力の一つである。

 

 

■タックルデータ

●ロッド:ソルティーステージ・シーバスSSS-902L

●リール:ステラ3000HG

●ライン:バトルシーバスPE0.8号

●リーダー:ショックリーダープレミアムマックス20lb

●フック:ST-47TG

●ルアー:シュガーミノーSG90F、ローリングベイト77

北上の夕べに涼を求めて

季節柄、サクラマス釣期の終了に伴い北上川水系下流域内の主要ターゲットはシーバスへと移り変わった。

旧北上川、新北上川(追波川)共にシーバスは依然釣れ続いているものの、近頃は酷な暑さも手伝って、日中はどうしても釣果が落ちるだけでなく、釣る側の体力的負担も大きくなるため、夜明け早々の朝マズメ(夜明け後の1時間がアツい!)と夕方~夜間にかけてのナイトゲームが手堅い。

北上の大河に日没が迫る。

 

 

 

 

 

 

夕暮れ時、川辺で涼みながら竿を振るのも、また気持ち良いものですね。

日没が近づく頃、川辺を見れば岸際に群れるボラの仔をめがけて突進するシーバスのボイルに遭遇することも多く、こういった状況であれば、かなりの確率で魚を手にすることが出来る。

現時点、河川内のシーバスのメインベイトになっているボラの仔

 

 

 

 

 

 

ベイトフィッシュを追って、完全に捕食モードのスイッチが入っている個体が相手だから、魚の射程距離内を見定めてしっかりルアーを通してやれば、勝負は早い。

濁りの急変などさえなければ、大抵の場合は何らかの反応を得ることが出来るので、ルアーフィッシングビギナーの方でも容易に楽しむことが出来る。

50~60cm級が主体だが、そこそこ数が出ます。

 

 

 

 

 

 

この日は日没を待たずに、50cm~60cmのアベレージサイズのヒットが相次いだ。季節柄、川の水温は高めだが、魚の活性は良好な様子。

小さめのバイブレーションプラグの中層ステディーリトリーブにバイトが集中した。

基本的にはオープンウォーターエリアなので柔らかいロッドで魚を掛けるとギュンギュンと曲がり、楽しさが更に増す。

たそがれ時の涼しげな風が心地良い、夏の川の鱸釣り。

皆さんもぜひ。

 

■タックルデータ

●ロッド:ソルティーステージ・シーバスSSS-902L

●リール:ステラ4000

●ライン:バトルシーバスPE0.8号

●リーダー:ショックリーダープレミアムマックス20lb

●フック:ST-46、ST-47TG

●ルアー:レンジバイブ70ES、ローリングベイト77

暑さに負けずに、コツコツと。

当ブログでもお伝えしている水辺の清掃を現在も頑張っている。

真夏日が続いているが、不覚にも先日29回目の誕生日を迎えてしまった小生もまだ“若いつもり”なので、こんな時こそ体力溢れる若い世代が大いに力を尽くさねばと思い、地道に活動にあたっている次第。

3月の津波で流されてきたヘラブナとスズキ。時間の経過で完全に干からびているが、まだこのようなのが残っている場所もあるのが残念でならない。少しずつであるが、清掃済みエリアが広がるにつれ、気持ちも晴れやかになってくる。

作業にあたり、この気持ちこそが何よりの原動力だ。

 

 

気温的に考えれば軽装で臨みたいのは本音だが、水辺では過度な軽装は禁物だ。清掃中は覆い茂る草の中にも入ることもあるから、うっかり半袖Tシャツで挑めば周囲にうごめく蚊やダニに刺されまくるから危険である。勿論、熱中症対策と虫除け対策は十分過ぎるほどに施すのが大前提。  善意作業とはいえ、何かあっては大事になってしまう。

作業中は、暑さとの闘いを伴うが上記の点からも全員長袖を着用し、足元もぬかるみで汚れるため、ウェーダー所有者は毎回着用して作業をおこなっている。この日も集結してくれた5人で沢山の瓦礫・災害ゴミを拾い集め、集積場へトラック運搬した。集積場に積み上げられている瓦礫やゴミの量を見るたびに愕然し、毎回言葉にならないほどだが、まだまだ避難所で不便な暮らしをされている方々のことを思えば、「今、自分達にやれることは自分達の力で精一杯やらなくてはならない」という気持ちが力強く込み上げてくる。

私達の活動は小さなものに過ぎないが、“ちりも積もれば山となる”の精神で今後も地道に展開していきたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

夕方、作業を終える頃には衣類は汗でダラダラ、体力的にもクタクタになるが、自分が釣りのために費やした時間を作ったなら、人や街のために尽くす時間も作るように心がけている。

被災地での災害ゴミ収集作業は、町会のゴミ拾い活動とは異なる。

「重い」・「汚い」・「臭い」・「疲れる」。

その量たるや…誰だって、一目見ただけで「本気でこれやるの…?」と躊躇ってしまうものだろう。

でも、誰かがアクションを起こさなければ、ずっとそのままなんです。

震災後の復興対応で誰もが多忙を極める今、行政もなかなか手が回りません。

5月から続けているこの作業も当初は苦の連続だったが、最近は少し気も楽になってきた。1回ごとの活動はごく小さなものに過ぎないが、ちりも積もれば山となる。

少しでも早く元の環境に戻していきたい。

 

追伸:つい数日前にも当事務所周辺を神奈川県からいらしていたボランティアの方々が清掃活動を展開されていました。中には若い方だけでなく、ご年配の方もいらっしゃっており、被災地のために懸命に尽くしてくれているその気持ちに大変心打たれました。感謝申し上げます。暑い中、どうもありがとうございます。