ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

夢釣行アラスカ「ハリバット」~オヒョウとの出会いから実際に釣りあげるまでの年月を振り返る~

もう7年程前になるでしょうか。

道北を釣り歩いていた帰路。

稚内から飛ぶ飛行機に合わせて借りていたレンタカーを返却することになっていたのですが時間に余裕があったため、ちょっと寄り道を楽しもうと「ノシャップ寒流水族館」に行ったときのことです。

 

そのとき、大水槽を泳いでいた巨大カレイを初めて見ました。

 

それが、「オヒョウ」です。

ご存知、オヒョウは英語でハリバットといいます。

 

ハリバットは太平洋種と大西洋種に分かれていて、日本を含め、カナダ~アラスカに生息しているタイプは太平洋種なのでパシフィックオーシャン(=太平洋)にちなんで、「パシフィックハリバット」という種類で、これが和名で言うオヒョウのことです。

ちなみに大西洋オヒョウはアトランティックハリバットとなっています(大西洋=アトランティックオーシャン)。

 

更に!

漢字一文字で特定の魚を表す場合、ヒラメの場合には魚編に平と書いてヒラメと読ませるわけですが(※例えば、お寿司屋さんの湯飲みに書かれている魚の名前の漢字によくありますよね)、これに「大」を付け足してオヒョウと読ませます。

つまりこの場合、オヒョウとは大きなヒラメという意味の漢字を当てた魚です。

実際のところ、オヒョウはヒラメではなくカレイに分類される魚ですが、カレイやヒラメのような造形の魚でヒラメより大きな存在は日本ではオヒョウだけですから“ヒラメより大きな魚”という意味合いでの“宛て漢字”がその根底になるのではないかと思われます。

 

話は戻りまして、稚内のノシャップ寒流水族館!

まさかここで生きて泳いでいるオヒョウを見れるとは思わなかったので、当時初めてオヒョウを見ることが出来て、とても感激したことを今も覚えています。

これだけで来た甲斐がありましたぁ~。

 

あとは、こんなこともありました。

道内で知り合った釣り人からも、オホーツク海で1週間毎日船を出して本気で狙えばオヒョウ釣れるかもしれないよ。興味あったら釣りに来るかい?とお誘いをいただいたこともあるのですが、1週間プライベートで仕事を休むことはさすがに厳しく、狙いに行きたい気持ちはあるものの、現実味を帯びることは難しくこれまで過ぎていました。

今年はアラスカロケのオファーがあり、「ということは…きっとキングサーモンかなぁ!」と自分では予想したのですが、私の予測とは違っていて「ハリバットを釣ってほしい」との依頼が自分に来るとは思わなかったんです。

「ハリバットですよ!ハリバット! アラスカに行ってもらいます。夢釣行で海の底モノ釣らせるなら、ふ~みんでしょ~!」とテレビ局は乗り気で連絡をいただいたのです。

とてもありがたいのですが、一口に底モノと言っても根モノから砂モノまでターゲットは様々いますし、ワールドワイドとなれば、更にターゲットは広がりを見せます。

まさかカレイの話が来るとは意外だったのですが、個人的にはオヒョウにも興味はありましたし、この魚を釣ることはそう容易なことではありませんから、せっかくの機会と思ってお引き受けさせていただき、こうして「佐藤文紀のハリバットinアラスカ」企画が進んでいったのです。

 

それにアラスカは今の自分が考えるなかで世界で一番行きたかった場所でもありましたから奇遇にも偶然が重なったのです。

 

とはいえカレイ釣りとはいえ、ハリバットとなればあまりにも次元が違います。

ハリバット釣りの経験はありませんので、実際どうやって釣るんだったっけかな…?と思案しました。

私はBS放送も好きで普段からよく観るのですが、数年前にやはりBS放送でアラスカのハリバット釣り大会の様子のドキュメンタリー番組を放送しているのを私は観たことがありイメージでは、なんとなく分かっていました。

なるほどな~こういう釣りなのかぁ!と。

アラスカでは期間中、一番大きなハリバットを釣った人に高額の賞金が授与される大会が開催されています。

優勝者を自船から出すべく、キャプテン達も真剣にこの釣りに取り組んでいる様子でした。

その時はニシン1尾掛けに更にサーモンを頭をブツ切りにして一緒に針につけてハリバットを釣っていたり、50cmほどのアイナメ(今思えば、ケルプグリーンリングだと思われます)を1匹まるごとエサにしてハリバットを狙っていたような記憶もあります。

まぁ~思ったものです。

アイナメもソイもハリバットにとってはエサなのだな(笑)と。

ちなみに現在では州のルールがとても厳しくなり、サーモンをハリバットのエサにすることは禁じられているようです。

しかし、ハリバットの釣りというとやはり思い浮かぶのはどれもエサ釣りであり、自分はハリバット=ベイトフィッシング(エサ釣り)を想定していました。

 

アラスカ行きが近づいてきて、タックルに関してはテレビ局がコーディネートを依頼している海外釣行専門の旅行代理店「ビックトラウト」の臼井社長にいろいろ教えていただきました。

「佐藤さん今回のロケ、ハリバットなんですって?」って、お電話をいただいたのです。

ビックトラウトさんといえば、海外遠征ツアーのパイオニアです。

世界中のフィールドで日本の釣り人の皆さんを安全にご案内している釣り専門のツアー会社さんとしてあまりにも有名ですよね。

皆さんのなかにも海外釣行に行かれたことのある方ならお世話になった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

アラスカでのビッグゲーム。

更に細かいリーダーシステムなどは、別なロケ帰りで東京を経由した際、プロショップ渋谷サンスイソルト館に寄ってスタッフの鈴木さんに教えていただきました。

渋谷の明治通り沿いにあるお店さんで海外遠征に行かれる多くの皆さんも訪れる老舗のプロショップなので、世界の釣り情報にもとても明るく、大物用品も充実しているプロショップさんです。

あとは相模湾のキハダキャスティングゲーム経験のある釣友や飛島沖のクロマグロキャスティングゲーム経験のある釣友、ハワイでマグロ延縄漁をやっている釣友にもいろいろ聞いて大物釣り向けの糸の結び方を教えてもらいました。

普段自分のやっている範囲での釣りを超えた釣りとなると、その分野の専門家の方から直接アドバイスをいただいた方がやはり心強いわけです。

例え自分の専門外の釣りであっても、プロフェッショナルとしてはいかなるときも魅せる釣りをしなくてはなりません。それがロケというものです。

バタバタと準備してアラスカに経ったわけですが、私はエサ釣り用タックルとルアー用タックルをそれぞれ持参したのですが、船上で仕掛けをセットしていたら、スタッフから「ふ~みん今回はエサ釣りもやるの~?」と言うので、「はい、ハリバットに関してはそうですね! 根魚はルアーでやりますが。」と答えたのですが、「出来たらハリバットもルアーで頑張れる?」と要望が出ました。

なにせ、ハリバットはカレイですから、ルアーよりエサの方が釣りやすいだろうと思うのは私とて当然のことです。

さぁ~て、困ったな…と。しっかり胴付き仕掛けを作ってきたんですが。

クエ針にハリス30号とか(笑)。

ワイヤーハリスまで持参して…。

針だって、マグロの延縄漁に用いられるサークルフック(オーナーばり製)も9/0~16/0サイズまでアラスカに持ってきています(笑)。

リールは3000番にPE6号300m+フロロカーボンのショックリーダー100ポンドを10メートル結んで。その先に150ポンド~200ポンドくらいの先糸をつけるとか、つけないとか…いろいろ考えてですね。

ちなみに100ポンド(※フロロカーボン30号相当です)のリーダーには、大間のマグロ漁師さんも使っているシーガー「プレミアム万鮪」を用意して万全の構え。

 

それからオモリ、シンカーですね。

ハリバット釣りで現地で使われているオモリの重さは900gが主流と聞いていたのですが、900gのオモリともなれば日本では深海釣り専門店でないとなかなか入手できないだろうし、そもそもさすがにこれを何個も持参したら荷物の重量制限ですぐに超過料金に達してしまう重さになってしまうので、オモリに関しては現地で用意するとしても特大サルカンにエサ釣り用の釣り針、ハリス(いわゆるリーダーでもありますよね)はしっかり準備していきました。

 

あとはワームも日本から持ち込んだものがどこまで通用するか未知ではあるけれどもガルプSWスイミングマレット6インチ、デプスのBM-ホッグ7インチなどをスタンバイしていきました。

海外の釣りではワームは「グラブ」や「カーリーテール」といったテールがヒラヒラするタイプはとても有効であることが多いので泳がせてもよし、止めてもよしなベーシックに使えるものの方が何かと安心です。

 

私はもともとエサ釣りから入った経歴の持ち主なのでルアーで釣れる魚ならやはりルアーで釣ってみたいけれども、ルアーだけしかやらないというわけでもないので、そこは臨機応変です。

ですので、エサ釣りも「やれ!」と言われれば今もそれなりにそつなくこなせます。

なので、エサ釣り前提としてハリバット用の仕掛けも自作してアラスカに持っていったのです。

 

で・す・が!

 

ルアーで挑戦して下さい、ということになり、ジギングロッド1本で勝負を賭けることになりました。

ルアーでやるとなるとエサ釣りのように置き竿に出来ませんから必然的に手持ちタックルになる。

ロッドを振って、ジグやワームをアクションさせるためです。

そうなると必然的にタックル規模をライト化しなければなりません。

余談ですが、ヘビータックルで200g~450gのメタルジグをしゃくるだけで相当な重さで疲れますし、200gを超える巨大ジグヘッドに大きなグラブをつけてリフト&フォールするだけでもかなりの負荷がかかります。

セットするリールのサイズも重要になってくるし、メインラインの号数とラインシステムも見直しになります。

なので、船の上でも組み直ししまして。

それで、もし厳しいようだったら…最後はエサ釣りに切り替えますね、ということだったんですが、ハリバット!

 

試行錯誤しつつ、けっこう頑張りましてルアーで5枚ヒットの4枚キャッチに成功したんです。

仕事の醍醐味ってヤツですね。

タックルはラインブレイクをなんとか避けられるであろう範囲で極力ライトタックル化しました。

アラスカでのハリバットタックルの基準よりは遥かにライトなのですが、私の判断でこれならギリギリいけるだろう…という直感です。

なにぶん、テレビカメラが回っています。スタッフに失礼のないようにヘビーな釣りであっても自分の体力で2日間の釣りをしっかりこなせるように、と。

 

 

ハリバットはルアーでも釣れる。

実際にメタルジグのジギングでハリバットを釣った人はいます。

でも、それはなかなか難しい。いつもいつもというわけにはいかないわけです。

日本でも網走沖のオホーツク海に繰り出してジギングで狙う熱心なジガーの方々も多くいらっしゃるわけですが、その釣穫確率は俄然低いというのが今の現状です。

釣りに行った人、全員が釣れているわけでは決してありません。

 

日本に生息するハリバットの数はそう多くはないため国内であれば魚の数の問題もあるかもしれませんが、相手がいくら大型魚であっても根本的にはカレイであることを考えれば、ジギングだとルアーの動きがやはり早いというケースもあるのではないか?という考えもあり、魚の活性がよほど高くないとジグの動きに追従しきれないこともあるのではないかという点も気になってはいたりしました。

スロージギングよりも更にゆっくり動かせるルアーやリグがあれば、更に釣果は今後伸びるのかもしれません。

なのでこれまでの定説ではエサ釣りの方が断然、ハリバットに関しては釣れる確率が高い。

アラスカでは、通常はニシン(=へリング)やマダラ(=パシフィックコッド)、スケトウダラ(=アラスカポロック)を1尾掛けや複数掛け、あるい切り身エサにして、竿をロッドホルダー置いたままじっとアタリが来るのを待って釣るのがハリバットゲームの主流です。

キャプテンのケニーやスキッパーのリチャードに、日本ではマダラもスケソウ(正式にはスケトウダラが正しい名前です)も立派なゲームフィッシュなんだよ!と教えたら、コッドもポロックもハリバットのフレッシュベイトだぜ!って言われましたが…(汗)。

彼らに言わせるとアラスカではタラはメインターゲットになることはなく、他の魚を釣るためのエサに最適なのだそうです…。

確かに…港の中でもマダラは泳いでいるよ、というので日本でいうボラのような存在になっているのが凄いギャップがありましたね。

 

 

いずれにしても認識の違いは日本と海外とでは沢山。

実際に行ってみたいと分からないことがいっぱいあって、釣りってそんなところも面白いですね。

その場に行かないと分からない、という。

これはとても貴重なことで、その後の釣り人生の財産にもなります。

 

今回は自家製ハリバット用の胴付き仕掛けは出番がなかったのですがせっかくなのでお礼を兼ねて、最後はキャプテンとスキッパーにプレゼントして置いてきたのですが、その仕掛けを作るために思案した時間も、仕掛け作りに費やした時間も無駄なことはなく、とても貴重であったと思っています。

今は実際にフィールドに出て魚とのやり取りをしている時間だけでなくって、ぼんやりと釣りのことを考えている時間さえも「魚釣り」の楽しみと感じています。

自分も少し歳を重ねたことで、魚釣りの“深み”の部分が近年ではひしひしとよく分かってきた。

昔ほど目先の釣りにガツガツしなくなりましたし(笑)。

 

 

 

 

劇中、ハリバットは全部ジグヘッドリグでキャッチしました。

 

本気でうれしかったです、ハリバット。

ノシャップ水族館で水槽の中で泳いでいたハリバットを見たのが最初。

ライブで目の前にいる水槽越しではないハリバットは初めて見たのですから!

それも自分のこの腕1本で釣りあげた魚。

なにせ、あのオヒョウを釣った!という喜びと、ルアーで釣った!という喜び。

更に自分の得意なワーム釣りで誘って喰わせて獲った!という喜びがついぞ爆発してしまいました(笑)。

 

 

 

 

すんごいですよ、ハリバット。

 

物凄い迫力。

厚みも、ぶ厚い。

引きは強烈で、なかなか簡単には上がってこない。

底にへばりつかれても大変だから、ヒット後は出来るだけ素早く底からは離したいけども簡単に浮いてくる魚でもない。

 

全身筋肉の塊みたいな魚。

どれだけ水中で激しく暴れまわっているのか容易に想像がつきます。

 

今回はハリバット狙いで沖に出た2日間は天気に恵まれ、凪もとても良かったのは救いなのですが、荒々しい波が危険ということで有名なベーリング海(荒れ狂う海でのカニ漁があまりにも有名)が近いこともあってアラスカ沖のハリバットフィッシングの漁場もまた波が荒い場合も多いことに加え、更にアラスカ沖は潮の流れがとても速いこともあり、ジグヘッドを用いる場合には8oz(224g)~16oz(448g)の重さを使うのですが日本ではそんな特大ジグヘッドは普通なかなか売られていないですので、日本からのストックでは持ち合わせがなく、今回ロケでお世話になった船に積んであったものをお借りして釣りました。

 

ハリバットを釣る水深は30m~最大120mくらいでした。

ボートに搭載されている魚群探知機は、通常は100フィート=30mを表していました。

 

水深は浅いのですが、港からはけっこう走ります。意外にポイントが遠いんだな…と思いました。

今回の私はコディアック島での釣りでしたが、ホーマーとかスワードとかハリバットフィッシングのメッカであるキーナイ半島有するアラスカ本土では港から片道2時間走ってハリバットの漁場に到着ということもあるようですし。

 

いずれにしても海外ではそんな超特大ジグヘッド(我々日本人の感覚では)も釣具屋さんで売られているのを見かけます。

なにもかもスケールが大きい…。

 

海外って、そんなところです(笑)。

 

このお話の詳細は…11/12(土)放送のBS日テレ「夢釣行」の後編でご覧いただけます。

 

ついに登場します、ハリバット!

よろしければぜひ。

 

 

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