ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

文月~梅雨色の空に清流のアユを想う~

満開に咲き誇る、アジサイの花。梅雨、真っ只中のこの頃。

今年も厚い曇り空のキャンバスを、淡い色どりで染めるアジサイ(紫陽花)の花々が見頃を迎えた。

梅雨空のアジサイから晴天の青空のヒマワリに至るまで、私は夏の花が大好きだ。

そう、海の季節に咲く花を目にすると、心が躍るのは今も昔も変わらない。

 

 

沖縄県は西表島から南国の恵みを送って頂いた。

かつて高校時代、夏休みや冬休みを利用して住み込みで釣り修行に行きお世話になっていた、西表島フィッシングガイド・マリンボックスのオーナー・宮城さん(愛称はマスター)からだ。

毎年、この時期になると獲れたてのパイナップルを恵んで下さるのだが、実はコレ、ただのパイナップルではない。沖縄県西表島のパイナップル。手前が桃の香りがするピーチパインという品種です。

 

 

 

 

 

 

 

写真の3つ並ぶパインのうち、手前の色味が違うのが「ピーチパイン」という桃の香りがする品種で、生産農家も少ないためにとても希少なパインなのだ。瑞々しい中にまろやかな甘味があり、とても美味い。

いつもながら本当にありがとうございます。

 

さて―。早いもので今日から7月。

文月である。自身の名の由来にもなっているこの月は、本格的な夏の到来を告げる。

事実、宮城県のアユ釣りは7月1日に一斉に解禁となる。

私はアユ釣りはしないのだが、毎年このニュースを耳にすると心が弾む。

杜の都・宮城県仙台市内を流れる広瀬川では今日は朝早くから多くのアユ釣り師が“夏の風物詩”を楽しんでいたようだ。全国広しとはいえ、都会の街中を流れる川でこれだけアユ釣りが楽しめる場所も貴重な存在だ。広瀬川はそんなアユが住まう清流を今日まで維持してきた。宮城県では昨年のあの時はまだ海にいた稚アユたちが津波で流され、その大半が岸に打ち上げられてしまい、その後に遡上する稚魚は少なくアユの魚影はどこも著しく低下したが、今年は各河川の漁協が釣り場の再生と釣り人の誘致を目指して尽力し、その放流量も例年以上に増やしたところ、震災前の6割程度までアユの数を戻すに至ったと、ニュースで報じていた。

 

アユ釣り解禁と共に、その終了の目安になるのが春の魚である本流のサクラマスだ。

東北~北陸のサクラマス河川をくまなく釣り歩く、さすらいのトラウトマンも過日「今年のサクラマス釣りはこれで終了するよ。」と、しみじみ語っていた。

彼は今年の3月末。宮城県北上川下流域の追波川で私のすぐ横でサクラマスならぬ、60cmオーバーのスチールヘッド(↓)を釣り上げた。今年3月末の北上川下流域の追波川で60cmオーバーのスチールヘッドを釣り上げた粕谷君。

さすがにこれには私も脱帽してしまったが、この男にとって、サクラマス釣りは生きがいというか、ある意味人生そのものだから、その愛すべき魚達と来年までしばしのお別れとなるのは、それなりに寂しいのだろう。

 

先日もサクラマスシーズン終了を目前に控え、ラストスパートに山形・秋田を回った後に北上川水系を岩手まで遡り、朝からサクラマスを狙っていたようだが、掛かったのはサクラマスならぬ大型のレインボートラウト。ご存じ、ニジマスだ。

粕谷君が北上川上流で釣った大型のレインボートラウト。サクラマス狙いの外道だそうです……。

 

 

 

 

 

 

 

2~4月上旬に北上川水系下流域でヒットの声が相次いだスチールヘッド化した個体がサクラマスの群れと共に遡上していったのだろうか。それとも、別のルートで入った普通のニジマスなのだろうか。

上(↑)の画像始め釣果写メが色々届いていたので、とりあえず「すごいね」と返しておいたら、すぐに「デカいけど、ニジ色のマスでがっかり…」との返事がきた。

普通、このサイズのニジマスをネイティブフィールドにおいてヒット&ランディングに持ち込むことはサクラマスよりも貴重だとも思えるが、「デカいサクラマスだと思って本気でファイトしていたから、ランディング間際にニジマスだと分かって落胆してしまった」んだとか…。要は自分なりの魚ではなかった、ということを本人は言いたいのだろうが、事情はどうであれデカいニジマスを釣って落胆する釣り人もこの男ぐらいではないだろうか―。

粕谷君は狙い定めた獲物は必ず獲る。いつも、誰よりも大きなマスだけを狙っている。決して殺気立つことはないが、目の前に“狙いの魚”がいるかもしれないって時の真剣な雰囲気は普段とはガラリと変わり、こちらも驚くくらい集中しているので、まさに二重人格者ではないかと疑ってしまうほどだ(笑)。それほど彼の中のマス釣り事情は洗練されているのだろう。秋の北海道に行くたびに60cmオーバーのネイティブレインボーは必ず釣ってくる。それも1尾ではなく、複数に及ぶから驚きだ。

 

 それから近頃は東北にも空前のナマズブームが到来し、トップウォーターフリークの間ではかなり盛り上がっているようだ。元々、バスやライギョの釣りが好きな人にとってはナマズゲームは自然な流れだろう。過日、岩手県に住むロックフィッシュ好きで更に“ナマズ狂”の友人から画像が届いた(↓)。ナマズ用ルアーとしてはノイジー系などのトップウォータープラグが代表的だが、魚の活性が低く、いまいちトップに出来らない時はシーバス用のシャローランナーを水面をヨタヨタと引き波立てながら引くとボコボコに釣れるのだとか。つまりトップウォーターミノーイング。しまいには「この“ナマズロッド”(別名:SWC-802EXH)は遠投が効くし、とても使いやすい」と、貴重なお褒めの言葉を頂戴した時には、さすがにどう返答したら良いか分からなかったが…。

シューティンウェイはナマズロッドではありません。が、ナマズにも使えるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

これほど楽しそうなナマズ話が次から次に舞い込むと、今後もしばらく多忙な日が続くが、何とか時間と取って“ちょっとばかり”私もナマズ釣りに行ってみようかなぁ…と少し考えてしまう、7月の始まりである。

 

そんなことをふと思っていたら…、今季のサクラマス釣り終了宣言したばかりの、例のトラウトマンから電話がかかってきた。

なんだろう?こちらは別に用事ないのだが。

それとも、またデカいニジマスでも釣ったという知らせだろうか。

「はい、どーも! 今季のマス釣り終了につき、今度ナマズ釣り行かない?めちゃめちゃ面白くて、今ハマってるんだよ!」。

 …………。 この男も…ナマズか…。(←1人で勝手に行って下さい。)