ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

北の大地を釣り歩く。(1)

仙台空港を飛び立つと牡鹿半島の田代島・網地島・金華山が一望出来ます。北海道の空の玄関口・新千歳空港。

5月中旬、今回の北海道滞在では新千歳空港到着後、苫小牧市の勇払マリーナを拠点に、ロックフィッシュ、サケ・マス(トキシラズ、サクラマス)、各種カレイ、スルメイカなど狙う、今や道央圏において人気急上昇中の遊漁船、琉駕(読み=リュウガ。旧船名:ボイジャー)船長の安瀬君と合流し、留萌市にオカッパリでクロソイを狙いに行ったことから旅が始まった。

 

今回の旅ではロケの前後に、多少なりとも取材とは関係なしに純粋に釣りに向き合う時間も確保した(けっこう無理しましたが)。こういった釣行の積み重ねが商品開発のキッカケとなり、そして新しいテクニックの開発に繋がるので、場合によっては取材よりも得られることが大きい貴重な時間でもある。これまで私が手掛けた商品もこういった釣行の多くから発想が生まれており、プライベート釣行は年々減る一方ではあるものの、“初心忘れるべからず”の精神は今も大切にしている。

 

新千歳空港から留萌市に向けて車を走らせます。5月中旬でも道路脇にはまだ残雪が。今日は新千歳空港より北に位置する日本海側の留萌市に走る。

途中で通った石狩川は雪代の影響でかなりの泥濁りになっていた。

北海道は雪の量が本州とは比べものにならないし、季節の進行が本州よりも遅いため雪代の影響は東北以上に気をつけておかないと、ドチャ濁りで川も海も釣りにならない時がある。このようなタイミングでは少しでも雪代の影響が少ない場所を絞り込んで行くのが得策である。

道中、高速道路脇にも残雪が残り、視界に入る山々にもまだ雪が見える。木々を見れば、まだ桜も咲いている。そう、季節はまだ春の始まりなのだ。

昼を回る頃からポツポツと雨が降ってきて、気温もいちだんと低くなった。今日はこれから風も強まり雨は本降りになる予報に、ちょっとガッカリしたが、予め決められた日程で動いているため、釣りそのものを中止しなければならない危険な荒天時以外は、最初から与えられた状況で割り切って釣りをすることにしている。天気の良い日だけを選んで釣りをしている時間は残念ながら取れない。

それに我々人間側の都合に、いちいち天気も魚も合わせてはくれない。釣れるか、釣れないかは釣り場に行って初めて分かるもの。要はモチベーションの持ち方次第。

現地に到着早々、上はヒートテック2枚重ねにその上にフリースを1枚、更にその上にレインスーツを羽織る。

下は雨に濡れてもいいように、更には防寒対策の意味も兼ねてウェーダーを着用する。

 留萌港から沖堤に渡してくれる齊藤船長の正宝丸。15時。今ではすっかりメジャーになった留萌沖堤に正宝丸の齊藤船長に渡していただく。開口一番「やぁ佐藤さん、久しぶりだね~。待ってたよ。去年は…大変だったね。」と温かいお言葉を拝受した。

 

ありがとうございます。ちなみに斉藤船長は元は静岡県の方。若い頃、勤め先の長期の出向仕事でこの留萌に来た時に、この海の豊かさに魅了され静岡県に戻らず、この地で渡船業・遊漁船業を開業したお方だ。

ここが留萌沖堤。この堤防で釣りをします。北海道では主要な港町各地に沖堤があり、中でも函館、室蘭、石狩、留萌の沖防波堤に渡っての堤防オカッパリ釣りはロックフィッシュアングラーの定番になっている。堤防は磯とは違い、足場がいいので安全かつ快適に釣りが楽しめるところもうれしい。  さて―。自身2年ぶりに訪れた留萌沖堤。私達より先に6名の熱心なルアーアングラーが渡っていたが、釣況を訪ねるとバイトはまるでなく苦戦している、とのことだった。

というのも、周囲にはトドが接岸してきており、上物~底物に至るまで魚達は「トドを警戒して喰いが非常に悪い状況だよ。トドがいなくなるまでは、かなり難しいと思うよ。」と正宝丸の齊藤船長が言っていた。

本州ご在住の方にはなかなか実感が湧かないかもしれないが、北海道ではトドやアザラシ、シャチ、イルカといった海の大型哺乳類が岸近くまで接岸することがある。こういった海獣が岸近くまで寄ってきてしまうと、彼らのエサとなってしまう可能性のある魚達(つまり私達が釣っているような魚達)にとっては脅威にさらされている中、釣り人が投じたルアーやエサ釣り仕掛けなどには容易には口を使わなくなる。外敵から身を守るため、物陰にじっと隠れて警戒してしまうのだろう。こういう事例は本州ではあまりないため今一つ実感が湧かない方もいるかもしれないが、北海道の海ではこれまでオーシャントラウト~ロックフィッシュゲームに至るまで私はつくづく“この状態”を経験してきた。

 留萌の海。近くに留萌川が流れるため雪代の影響で海は少し白濁気味でした。堤防に渡り、15時30分過ぎから釣りをスタートしたものの、ソイのバイトは20時までは一度もない厳しい状態が続き、誰もが皆、ボウズを覚悟していた。

船長の言う通り、状況はかなり厳しいようだ。

 

唯一の釣果はアイナメ1尾だけ。ヒットルアーはガルプSWダブルウェーブ3”(カラー:ナチュラル)の3/4ozテキサスリグ。

ダブルウェーブ(ナチュラル)にヒットしたアイナメ。留萌はアイナメの数が少ないので貴重です!!私などは何を釣っても楽しい性分ゆえ、ソイが釣れないならエゾメバル(ガヤ)狙いに徹し、一人でエゾメバル釣りを楽しんでいた。幸いにもエゾメバルだけは防波堤の際沿いのコンブジャングルの中に隠れているため、トドのプレッシャーも少ないのか、夕方になると同時に釣り人を楽しませてくれた。

夕方、エゾメバルを狙うとご覧の通り。この魚、私は大好きです。本州のメバルより断然引きます。宮城県以南在住の方だとエゾメバルを見たことない方もいると思うが、この魚は本州でお馴染みのメバルの仲間。冷水性のメバルということになる。アイナメよりも冷たい海を好むウサギアイナメがいるように、メバルよりも冷たい海を好むのがこのエゾメバルだ。道内では正式名称であるエゾメバルと表現する方は少なく、一般的には「ガヤ」の愛称で広く知られている。

クロスヘッド2g+ガルプSWベビーサーディン2”のジグヘッドリグで連発。エゾメバルは青森や岩手でも時々釣れることもあるが、完全なる寒流域に生息するメバルなため、黒潮の勢力が残る宮城県沿岸までのエリアではこの魚にお目にかかることはない。ちなみに釣魚としては通常のメバルよりも皮が厚く筋肉質なため、エゾメバルの方が引きも強い。なので、あまりにもベナンベナンなULロッドなどではそれ相応のサイズを掛けるとすぐにコンブの中に潜られてしまい、獲り損ねる場合もあるから注意が必要だ。そして気性もメバルより荒く、アグレッシブな性質を持っているためルアーへの反応は抜群にいい。

道内ではエゾメバルよりも大きな根魚が沢山いるためか、メバリングは正直なところ人気がない。

暗くなるにつれ、どんどんサイズが上がっていきます。しかし、小物とは言えこれだけルアーに反応良い魚を、みすみす釣らないのも勿体ないので、ぜひ本腰を入れて狙ってみてほしいと思う。本州のメバル釣りが人気の高まりとともに「数釣り」と「型狙い」の両方向に分かれていったように、エゾメバルも二通りの楽しみ方が可能な魚だ。

現に石川県の能登島水族館の水槽ではかつて40cm強のエゾメバルが堂々と水槽の中で泳いでいるのを見て、「やっぱりエゾメバルも最大は40cmになるのだな~」と深々と悟ったことがある。又、茨城県に住む学生時代の友人の話では、同県の大洗水族館の水槽にも「40cmほどのエゾメバルが泳いでいたよ」と聞いた。ということは40cmが存在する以上、エゾメバルの“尺”(30cm)は現実的なサイズであり、狙って獲れるゲームフィッシングとして間違いなく確立出来る釣りである。

肝心なのは、やり方次第だと思う。

あれは2005年8月のことだったが、当時の私は釧路~知床半島までを雑誌の取材で釣り歩いた時、知床半島の漁港の夜釣りでコンブ際から30cmの尺ガヤを釣った時は凄くうれしかった思い出がある。それを見たカメラマンも我慢の限界に達したようで自分の車から申し訳なさそうにタックルをちょいと出してきて31cmの尺ガヤを釣って仕事そっちのけで喜んでいた(笑)。それ以来、私はこの魚の魅力に完璧にハマってしまったわけだ。30UP=尺オーバーのエゾメバルだけを専門的に狙う釣りを道内でやっている人は現時点、それほど多くはないはずなので人よりも先に“尺ガヤ”を獲るための釣り場と釣り方を見いだせれば、きっと面白い釣りが出来るはずである。

 それでいて、やはりメバル族であるがゆえにルアーには著しくスレてくるから、同じ場所で同じ釣りばかりやっていると次第に見切られて釣れなくなってくる。それは同時に高いゲーム性をも意味し、このテクニカルさが釣りとしての深みを醸し出してくれるので、私は道内の夜釣りに行く際は必ずライトロックタックルを1本用意している。

当日のエゾメバルの釣果はご覧の通り。コンディションも抜群。

シューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサーはラインポンドを落とせば、実はメバル用2g~3gジグヘッドをも普通に飛ばせるライトアクションロッド。フロロのみならずPEラインにも対応するKガイド仕様なので、良型のメバルやエゾメバル(ガヤ)、ソイなどを釣っていてスルメイカ(マイカ)やヤリイカが回遊してきたときにはワームから小型のエギに結び変えてそのままエギング出来るブランクのシャープさと力強さも持ち合わせているため年間を通して出番は多い。

元々、大型根魚狙いでのフィネスアプローチ用として開発した細見軽量でありながら、平均にして50cm/2kgの大型根魚が掛かった時に最大限に楽しめる作りに設定している肉厚ブランクのトルクは3キロオーバー、4キロオーバーの巨大根魚が掛かっても真向から勝負出来る点も見逃せない。手のひらサイズのライトロック~4キロ級のヘビーロックまで使える、1本あるととても便利なスピニングロッドだ。

この時期はエゾメバルもプリスポーン。こうなると、もはやメバルとは思えない体型です。釣れたら優しくリリースしてあげて下さいね。

 

 

 

 

 

 

 

これだけ釣れると本当に楽しい。

それでも安瀬君や周囲のルアーアングラーは終始、ソイ狙いに徹していたが、私は一人たんたんと久々のエゾメバルゲームを十分に満喫していた。

しかし、その時点ではこの後にとんでもない事が起きるとはまだ知らずに……。

次回に続く。

 

タックルデータ

■スピニングタックル<エゾメバル用ライトロックタックル>

●ロッド:シューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサー

●リール:ステラ2000

●ライン:シーガーR18ライトPE0.4号

●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス5lb

●ジグヘッド:クロスヘッド2g~3g

●ルアー:ガルプSWベビーサーディン2”、ガルプSWサンドワーム2”

●偏光グラス:ZEAL OPTICS Vanq、アルマジロ13

●偏光レンズ:TALEXイーズグリーン

       TALEXモアイブラウン(夜釣り用)

原則としてサングラス及び偏光グラスの夜間着用は視野が暗くなるため視界確保が難しく危険防止の観点から好ましくありませんが(事実、夜間運転時のサングラス着用は厳禁です)、夜間でもわずらわしい光を安全にシャットアウト出来、夜間でも着用できる偏光グラスとしてTALEX初のJIS規格を得ているのがモアイレンズ(モアイブラウン及びモアイグレー)です。私は夜釣りの際は、モアイブラウン着用しています。このレンズを着用することで夜においても安全に必要な明るさを確保しながら浅瀬の根やウィード、潮目が浮き上がって見えるコントラスト性能を発揮してくれるのでメバルやエゾメバル、クロソイ、アジ、シーバス、ナマズなどのナイトゲームもされる釣り人の皆さんにはオススメの偏光レンズです。

詳しくは下記(↓)TALEX光学工業のウェブサイトにてご確認下さい。

http://www.talex.co.jp/product/lenscolor.html

 

★北海道留萌沖堤 渡船<留萌港>

■正宝丸 (斉藤船長 )【受付番号090-8633-8910】