ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

オカッパリ再発見の時代へ。デイゲームでクロソイを斬る!

「杜の都」宮城県仙台市の冬の夜空を彩る、仙台・光のページェント。

仙台・光のページェント。復興を願う希望の光が漆黒の闇夜を照らしています。

 

 

 

 

 

今もなお閉塞感漂う、漆黒の闇夜に無数の星のごとく輝く光が幻想的。

そう、被災地の夜空に復興への希望の灯が燈っているのだ。

 

 

この日は堤防からクロソイのデイゲーム取材。

本州ではクロソイ=夜釣り限定の魚というイメージが旧来より根強いが、水深が深い堤防であれば実は狙い方次第ではデイゲームでも狙って釣ることが可能であるという確信をここ数年で得るようになった。

実際、東北生まれの東北育ちの私にとって旧来のクロソイ釣りとはオカッパリではナイトゲームの対象魚として捉えていたが、クロソイの本場である北海道で修練し習得した「クロソイの狙い方・釣り方」は、ここ本州の地でも大きく開花するに至った。

当日もあいにくの強風が吹き「ラインさばき」すらままならない荒れ模様の一日。カメラマンも私もスケジュールの都合上、今日ロケが出来なければそのままお蔵入りロケを覚悟の上で決行。

今年は「ロックフィッシュのABC+DVD」のDVD劇中や「ロックフィッシュ地獄Ⅷ」、「ノースアングラーズ2012年7月号」でもご紹介している通り、クロソイ釣りの妙技にスピニングタックルによるライトテキサスというものがある。

特にデイゲームではボトムから“逆カウントダウン”してクロソイの停滞レンジを私は割り出して釣っていくので、着底時に根掛かりを回避するオフセットフックによるスナッグレス効果には助けられる点も多い。

狙う魚がデカくなれば、デカいほどクロソイに関してはスピニングタックルによるスローフォールの釣りが効果を発揮するケースが少なくない。

とは言え、狙いは最低40cmもある大型根魚。当然、メバルタックルやアジングタックルで手におえるような相手ではないから、いざ40~60cmクラスのビッグフィッシュを喰わせた時にも常に主導権をこちら側に握っていられるよう専用タックルを用いることが前提となる。

まずは底の地形を明確に把握するために16lbフロロカーボンラインを巻いた1ozテキサスをベイトタックルで投入。この釣り方ではフォールスピードが速いため、クロソイよりはアイナメ向きの道具仕立てであるが、このスピードフォール特性を活かしてボトムの地形を細かく判別することにまずは時間を費やす。というのも、この釣り方でその日の最終的な攻め方を決定付けられる段階の情報を得ることが可能なのだ。

そして、大本命のスピニングタックル。リグはボトムの地形が根がかりの頻発するスポットであれば、ライトテキサスを選ぶ。さほど根がキツくなければジグヘッドを用いた方がフッキング性能を考えると楽だ。

いずれも用いるウェイトは3/8ozまで。それ以上、つまり1/2oz以上になるとフォールスピードが急に速くなるためクロソイへのバイトタイミングを与えにくくなってしまうから注意が必要だ。ソイはリグやルアーのフォールスピードの速い・遅いで釣果に決定的な差が出る。

当日は自身はじめての場所につき、思った以上に1ozテキサスで根がかりが頻発した。それこそ1ozシンカーを4つロスト。あまりに引っかかるのでその時点でスピニングタックルへと移行する際、ジグヘッドという選択肢は消去しライトテキサスという釣り方に全ては集約された。

ソイの大好物・ガルプSWダブルウェーブ3”(カラー:CGBFO)をがっぷり咥えています。使うワームは泳がせてよし!止めてもよし!の大物ソイ狙いでは欠かせない「ガルプSWダブルウェーブ3”」。本州各地は勿論のこと本場・北海道においても驚異的な巨大クロソイ釣獲実績を誇る、ソイ狙いの定番ワームである。

 

そして待望の時はやって来た。

ロッドはシューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサー、リールはハイギヤ3000番スピニング。ラインはシーガーライトタックルフラッシュスリー1号(PE)+ショックリーダープレミアムマックス20lb(フロロカーボン)。ワームはガルプSWダブルウェーブ3”(カラー:CGBFO)、オフセットフックは岩礁カウンターロック1/0、シンカーはタングステン3/8ozバレットシンカーの組み合わせ。

 

クロソイのレンジに合わせたフォールスピードと喰わせの間合いを獲れれば、そこに魚がいる限り、釣る方法はあるのです。デイゲームでの40UPクロソイとのファイト。喰わせた時はリグは完全に浮かせた状態、つまりフォールの段階で吸い込ませ、フックアップに持ち込んでいる。これが“ルアーと魚(ソイ)とのタナ合わせ理論”である。

 

これにはPEラインという相棒もなくてはならない。PEの浮く特性を逆利用してリグを垂直に落とし込むフォールを実現させるのだ。仮にメインラインにフロロカーボンラインを選択してしまうとライン自体が高比重ゆえにライン全体も沈んでしまって水中にあるリグの姿勢が変わり、魚の活性次第では思うような釣果が出なくなることが多い。だからこの釣法では断然PEラインがいい。

フックアップと同時にロッドは大きく絞り込まれている状態になるが、スイミントレーサーを使っている限り40cmアップのクロソイ相手で力負けすることはない。

クロソイならではの生活史、習性を知ればもっと釣れるようになります。パワフルな筋肉が宿るシューティンウェイコンセプトのブランクは水中で激しく暴れるソイのパワーをじわじわと吸い取って浮かせにかかるやり取りは、緊張感の溢れるハラハラする瞬間から、大きな喜びへときっと変えてくれるはず。

 「魚を釣り上げている最中の醍醐味」を誰もが平等に体感して頂けるだろう。

撮影は大成功。「いい画が撮れました!ありがとうございました!」とフッキングからランディングまでコマ送りで撮影していたカメラマンから丁重なお言葉を頂戴し恐縮しつつも「すみません。もう1投だけしていいですか?」と投げた次のキャストでまたヒット。

今度はクロソイよりレアな良型フグをキャッチ!これが意外に引いて楽しかったのです(笑)。

なにせ、まんまる体型に掛かる水圧はかなりのもの。フグの引きは侮れません。

それに個人的にもソイよりもフグをテキサスリグでフッキングも持ち込めた時の方が何気にうれしい部分もある。

ある意味、ソイよりうれしい良型フグをキャッチ。ルアーはガルプSWダブルウェーブ3”というのもフグはカワハギ同様にアワセの動作が難しい魚だから、こういった魚さえも的確にフッキング出来る状態というのは「身体の全神経がアワセの態勢に整っている証拠」とも言えるのだ。

 

「佐藤さん。本命より、このフグの方がうれしそうですね(笑)」と言われたので「はい。そりゃぁ~もう!さぁ、遠慮なくこのフグの写真を撮って下さい!」と伝えると私に気を遣ってか、とりあえず1枚だけは撮ったものの「ロックフィッシュの取材ですので…今回はフグの写真は結構です…」と最後にカメラマンに失笑をくらったが、本題は双方満足のいく取材をおこなえたものだった。

 

今年も早いもので年内残すところ、あと2週間少しとなりました。

何かと忙しい年末時期に差し掛かりましたが、釣りに行ける方は天候と足場の安全面には最大限の配慮の上、お出かけしてみてはいかがでしょうか。

東北のロックフィッシュシーンは今が最高潮を迎えています。