ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

偶然の魚との遭遇で、脳内海外釣旅。

ふと…昨年の今頃は何をしていたのかな、と思いまして。

昨年の写真アルバムを振り返ってみたんです。

 

ちょうど昨年の今頃はデプス×プロズワンコラボレーションのワームテストとロックトランジットRTC-822EXH“スキップツー”のテストが佳境を迎えていたタイミングでした。

 

今日のお話は、一年前のそんなある日のこと……。

③

相変わらず、ロックフィッシュ狙いで磯に立っていました。

手に構えるはスキップツー(ロックトランジットRTC-822EXH)の当時における最新プロトで、エクスセンスDC-XGに、PEラインはリリース後間もないシーガーPE X8(エックスエイト)の2号を巻いていました。

タイミングが重なりロッドも、リールも、ラインも、最新バージョンで同調。

ショックリーダーには、シーガーグランドマックスショックリーダーの5号を結束。

 

面白いことに、この日のロッド&ワームのテスト釣行では「狙いではない魚」が掛かったんです。

完全なる偶然というものです。

 

テキサスリグにセットしていたのは当時、開発途中だったデプス×プロズワン スパイニークロー3.5インチ。

沖にフルキャストしてひとしきり探って来たのですが、そのピックアップ中、背中の青い魚が猛烈なスピードでスパイニークロー3.5”ケイムラクリアホログラムカラーに迫ってきました。

青物ではない!

内心「海サクラか!?」と、ピックアップからそのまま魚が戻っていった沖に一連の動作でリグを放ち水面直下高速巻きで撃ち返ししたんです。

こういうときはその後の1投が決め手です。

 

魚がまだ付近にいれば、向こうは再び何らかのアクションを示してくれるはずだ、と。

 

そしたらグンッ!とリールのハンドルが止まったので、しめた!!と思って渾身のフッキング。

磯場なので立ち位置が安定しにくいですが、相手はグネグネを体をくねらせながら鋭く突っ込んでいきます。

 

偏向グラス越しに見える視界では、水面直下でギラギラと光ながら魚が激しく抵抗していました。

 

ロックフィッシュをやっていたもので、リールはフルロックだったものですから急激な引き込みにベイトリールのクラッチを切り、指ドラグで応戦。

海サクラなら口切れフックアウトが怖いですから、慎重にファイトせねば。

 

針は岩礁カウンターロック1/0。

つまりはオフセットフックなんです(汗)。

 

季節柄もあって、その瞬間こそ海サクラのことしか頭になかったのですが、魚をあげてみて……。

④

あぁ…。

あぁ……。

⑤

ああぁ………。

 

サクラマスじゃないぃぃ~~(泣)

⑥

シルバーサーモン=ギンザケでした、というオチ。

 

ご周知の通り、ギンザケは日本には生息しておりません。

本来はカナダやアラスカに自然分布しているサケなんです。

稀に北海道沿岸部で海の向こう(北米大陸側)から迷走してきたハグレ個体が捕獲・釣獲されたりすることも“ある”程度に過ぎません。

⑦

日本では東北の三陸(金華ギンのブランド名が有名)や四国の瀬戸内海(レモンサーモンのブランド名が有名)ではギンザケの海面養殖を盛んにおこなっていますから、この魚は養殖施設から逃走したものが“やや野生化”しかけていた個体と推測つきます。

⑧

一代限りのネイティブ化の最中、コウナゴ(小女子)を沢山捕食していました。

⑨

 

仮にここが北海道の釣り場なら、こういう出会いでも相手が海サクラの可能性はあるわけですが、ここは東北。

フィールドスケールが違うので、現実的に海洋サクラマスの密度も違い過ぎます。

まぐれとはいえ、どのみち海サクラがロックフィッシュゲーム中に易々とテキサスリグに喰らいついてくるなんて、そう甘いものではありません。

 

アラスカにテレビロケに行ったとき、キングサーモンの姿は見ることができませんでしたがギンザケ、ベニザケ、カラフトマス、ドリーバーデン(降海型オショロコマ)の姿は間近で見ることができました。

カラフトマスは北東北や北海道でもお馴染みですが、野生のギンザケ、ベニザケ、ドリーバーデンは初見で、その勇ましさはとてもかっこいいものでした。(釣りたかったけど。笑)

なかでも、アラスカのコディアック島の沖合いで見た本家本物の「海シルバーサーモン」は、この日偶然釣れてしまった魚とはまるで顔つきの精悍さが違います。

鼻は尖り、目が鋭かった。

かっこよさは全然違うものです。

 

下の写真(↓)はアラスカのコディアック島の沖合いです。

ブラックロックフィッシュ(クロソイの仲間)を釣っていたグラブのジグヘッドリグを突然どこからともなく1尾のシルバーサーモンが現れてルアーに少しだけついてきたんです。

一瞬のできことながら、かっこいい~と目を奪われる出来事でした。

⑩

 

一年前のある日の、たまたまの1尾から国内におけるサケマスの聖地・北海道へ脳内瞬間移動し、果てやアラスカに記憶はたどり着く。

偶然が呼んだ魚ですが、どこまでも奥が深い“海”を脳内で記憶一周。

 

ときには、思い出巡りも楽しいものですね。

 

自身、毎年5月から6月になるのを境に、トラウトからロックフィッシュへと頭の中を切り替えるタイミングがやってきます。

春モノから夏モノに衣装をかえるように、頭の中も衣替えです。

ハタをメインにアイナメもソイも楽しい季節です。

毎年恒例なんです。自分の中で、きちんと季節毎のターゲットに向き合う気持ちを整理するタイミングがある。

 

だけど、もう少し。

もう少しだけ、サケ科の魚を無心に追わせてください。

釣りに行けても行けなくとも。

釣れても釣れなくとも、大きなトラウトに想いを馳せる時間がほしい。

 

一年の中で、とても楽しみにしている僅かな時間。

それは時に、奇跡の出会いと呼ぶのかもしれません。

I LOVE MIZUBE, I LOVE SAKURAMASU.

⑪

鱒(マス)も、鯰(ナマズ)も、私にとってはそんな存在なのです。

水辺の友!

 

 

ロックフィッシュたちとトラウトたちが誘う(いざなう)、美の世界。

魚のことを、もっと知りたい。

どこまでも、知りたい。

 

そんなとき、魚の片隅に優しい彩りを添えられる釣り道具があったらいいのにな。

素晴らしき魚にそっと彩りを添えて。

そんな思いから作られているのがプロの一手=プロズワンのプロダクト。

 

春もたけなわ

そんな春もたけなわ、北国も初夏の陽気を感じつつー。