ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

夏の終わりに思う、秋の行楽とはー。

先々週は関西で、先週は関東に滞在。

季節柄、釣具の業界も忙しい日々が続きます。

皆さんおつかれさまです。

①

この日も、朝も早くから東京スカイツリーをパシャリ。

 

もう9月ということで、そろそろタイミングを見計らって、次なる取り組みに移行しなければなりません。

なにせ今月は!

新発売、いよいよ始まるデプス×プロズワンのコラボレーションワームの発売月につき、無事に出荷できるよう今後は外仕事から内仕事にウェイトを注力していきます。

 

deps×PRO’S ONE

楽しみですね☆

②

ワームが発売されましたなら、これで皆さんガッツリとロックフィッシュゲームをお楽しみいただけます~。

ロックはもちろん、マゴチにもいいですよ。

4種類、各5色ずつの計20アイテム。

今月下旬から、トド~ンと20アイテム発売開始です。

 

10月からはアイナメのスポーニングシーズン本番を迎える北海道の皆さんには発売後すぐにぜひ入手して使っていただきたいタイミングですし、ハタ生息地域の皆さんにもすぐにご活用いただけます。

アイナメにはグラブ、カーリー、ホッグ、クロー全種類、いいですね!

アカハタにはデスアダーホッグ3インチ&スパイニークロー3.5インチを中心にフォーリング主体の釣りが有効で、オオモンハタにはデスアダーグラブ4インチとデスアダーカーリー5インチを中心にぜひともスイミングでお試し下さい。

キジハタには縦の釣り、横の釣り、その両面でのアプローチが必要ですので、そのときの状況に合わせて適材適所でセレクトしてみてください。

釣技がシビアな「東京湾のマゴチ釣り」もテスト段階から好釣果が出ていますので、比較的年間を通して狙えるマゴチフィールドではジグヘッド、テンヤ、ダウンショットを主体に、もちろんテキサスリグなどでも色々なリギングでお楽しみいただけます。マゴチの場合にはシャローの釣りにはジグヘッド、ディープの釣りにはテンヤが水深的に使いやすいかと思われます。

 

「デスアダーシリーズ」といえば、バス釣りをされている方やバス釣り経験者なら誰もが知っている名作中の名作です。

かくいう私もその昔はバス釣り時代を過ごしましたので、当時18歳、デスアダー(現行のデスアダー6インチ)を初めて手に入れ、ジグヘッドにセットして投げたらすぐにバスが喰ってきたのには「なにこれ!すげ~っ!!」って驚いたものです。

当時は6インチもある横幅が凄いバルキーなスティックベイト、しかも自重が14gもある「デスアダー6インチ」はその目にずいぶんと大きく映ったものです。

昨今のベイトキャスティングリールとは事情が異なる時代です。

90年代~2000年頃までは「ノーシンカーリグ」といえばもっぱらスピニングタックルの専売だった時代に、デスアダー6インチはベイトタックルにも関わらず、ノーシンカーで相当な飛距離を飛んでいったときには感動しました(笑)。

その後の圧倒的釣果の数々はもはや伝説。

ここで、私がいまさら語るまでに及びません…。

思い起こせば…もう17年も昔のことなんですね。

そんな偉大な歴史を持つバス界の超名作「デスアダーシリーズ」のうちの3種にプラス1種を併せた4アイテムが海のルアー釣り、それもロックフィッシュバージョンとして衝撃発売される今回、ロックフィッシャーである私が歴史的名作に新しい観点を注ぎ込むことは大きな緊張感も伴うものでしたが、今回のコラボではデプス社の美学を継承しつつも、プロズワン社との融合でまた異なる用途に向けての新しい命を吹き込ませていただきました。

ジャンルが違うブランド同士のコラボレーションですから、バスアングラーさんも、ロックフィッシュアングラーさんも双方に驚かれていらっしゃる方も多かったことと存じます。

同時に「凄く楽しみにしています!!」というお声を各地の皆さんよりたくさん頂戴しましたことについては、奥村さんも、私も、共にうれしく思っております。

このようなコラボは釣り業界としても珍しく、ある意味「異質」なケースなのかもしれませんが、デプス代表奥村さんには改めて深く感謝を申し上げると共に、私自身としてもとても光栄に思っている次第です。

今回、新しく手がけさせていただいた作品ひとつずつ、仕様を決め、改良を施し、テストを経て世の中に送り出すまでが私の持ち場というか、お仕事なのですが、特に初めてリリースとなる「新製品」の場合には、出荷されるまで生産や流通にエラーがないか、内心ではいつも心配が重なっています。

とりわけプロズワン社としても、初めて扱うワーム作品がこのコラボワームになるからです。

発売が近づいてきていることもあり、私なりに最後の最後の役割を果たすのが「今月」というわけです。

全20アイテムが一気にデビューするコラボワーム新登場を控えつつ、溜まった原稿作業のまとめに、釣り竿検品も、早め早めにこなしていくことを最優先で今月はやり繰りする予定です。

10月には店頭イベントも予定されていますので、今月の分までアカハタやオオモンハタなど、フィールドワークも来月は自分の中で楽しんでいきたいと思っています。

 

 

 

早いもので本格的な秋の入り口、9月を迎えています。

9月、10月は例年、日本列島は台風シーズンです。

③

北からの勢力では、アキアジ(「秋の味覚」という意味)こと「シロザケ」の南下・帰還が多くなる季節ですので北海道の海岸はサケ釣りで賑わいますね。

サケ釣りシーズン中、道内の海岸線はずらっと長竿が並ぶ秋の光景は本当に壮観です。

オホーツク海側もそうですが、太平洋側の白老~室蘭までの道中の登別界隈の海岸も人の集まりがいつも凄いですよね。

釣り好きならば、見学しているだけでも楽しいものです。

 

その一方、南からの勢力では回遊魚が依然多い季節ですのでマグロ・カツオ・シイラ・ブリ・ヒラマサ・カンパチ・マダイを筆頭にハタ類の動きも活発です。

キジハタは確実に北上を続けていて、これまで釣れなかった地域でもニューターゲットとして釣れるようになってきているのが今の時代の流れです。

又、水温的に考えて、アカハタやオオモンハタにはこの季節、狙うにはベスト。釣果が安定しやすいため、今、釣らないと勿体ないのでぜひ釣りに行ってほしいです。

アカハタやオオモンハタを狙うには水温20度以上あれば釣況も安定しやすく特に心配いりませんが、更に南方のスジアラを狙うには水温は23度以上はほしいところ。スジアラはもともとは国内では沖縄の魚であり、他にはインド洋などのサンゴの海に生息するトロピカルなハタです。

台風等の進路により9月くらいから水温帯の変動がまた開いてくる時期なので、九州や四国でスジアラを狙うという場合にはこのハタにとっては比較的高緯度地域ということにもなりますので今後は黒潮の接岸状況と水温分布図にも注視してみてくださいね。

水族館以外では今年は久々に鹿児島県久志の海でスジアラを見て、テンションあがりましたね。

(その昔は沖縄県西表島のライトジギングで私はスジアラを釣っていました。バラハタもかかりましたが、スジアラの場合には引きがバラハタとは別物だったのを思い出します。水深の半分までジグをあげてきても平気でヒットしてきたので、「ハタは中層でもルアーを喰ってくる」というのを私の場合には高校時代に体感的に知ることができたんです。20年も前の話ですが(笑)。でも、その甲斐あってハタはアイナメやソイとはまるで違う根魚であるということを当時から経験として知っていたのはその後、今に至る知識としてはとても大きかったですね。)

 

その一方ではカラフトマスたちも川に帰り、渓流までたどり着いたサクラマスたちも今月から次第に産卵期に入っていくのでサケマス達にとってはその命の最終章が迫っています。

④

産卵を終えたシロザケやカラフトマス、サクラマスに関しては、じきに命尽きる運命にあります。

このことは、これらの種類の宿命であり“例外が存在しない”進化の過程が成した自然の摂理なんですね。

⑤

その「迫り来る死」に悠然と立ち向かい、それでも海から山に向かっていくサケやマスたちの勇姿に、私はいつも感銘を受け自身も色々なことを考えさせられるのです。

山で生まれた命は最後もまた山に還る、という悠久の歴史。

生まれたきたからには、必ずや終点があることは決まっている「生き物」の定め。

 

カラフトマスで約2年。

サクラマスで約3年。

シロザケで約4年といわれる寿命です。

⑤b

里川や渓流で生まれた小さな命が時に荒れ狂う海に向かい、外敵の襲撃をかわしながらも大海原を大回遊してきて再び故郷の川に帰ってきたサケやマスにはその命の生き様が凝縮しています。

湿っぽくさせるつもりは毛頭ないのですが、この時期のサケマスを見ておりますと、それは残りの余命を宣告された人間が余生をどう過ごすか、ということすら考える視点とさえ私的には情景が重なります。

たまたま自分の家族の場合にはそのような境遇のもとに最期を迎えたのですが、今でも思うのですが、当人の気持ちを考えると、その時どのような葛藤があったかはその全容について未だに想像の域を出ない。

だけど、いつしかはめぐりめぐって自分もそのときを迎える番はやってくるわけだから、今からでも少しずつそういう情景を、ちょっとずつでいいので「考えていく」ことで、万が一急にそんなふうになっても動じない最期のあり方や少しでも周囲への負担を減らせる工夫を考えていたいなぁ、とも自分なりには少しながらもいつも思っているんですね。

命の尊さというものを毎年、この時期に故郷に帰ってくるサケマスから学んでいるのです。

 

あ! そうそう!

婚姻色に染まったサクラマス達の姿が渓流で見られると同時に、鼻曲がりの色の鮮やかなオスの大きなヤマメが釣れたりするのも禁漁期が迫った今月なんですよ。(そのかわりにそんな大ヤマメを釣るのは…とっても難しいですが)。

大ヤマメを釣る……渓流釣りファンにはラストチャンスですね。

 

海も、川も、水に動きのある水辺全般そうですが、台風前後の水辺は知っての通り、危険一杯のフィールドと化しますが、台風がいなくて天気が安定している日には秋晴れの下で秋の行楽日和が楽しめる頃。

⑥

お子さんのいらっしゃるご家庭には、海で釣り糸を垂らせばハゼやイワシ、アジやサバなどの小物の五目釣りを家族団らんで楽しむにも暑すぎず寒すぎずの、とてもいい季節ですね。

子供たちにとっては、フグやベラ、アナハゼにネンブツダイ、ギンポに小メジナ(コッパグレ)だって格好の遊び相手です。

 

写真のオイカワ(↓)、すごく綺麗だと思いませんか。

こちらは私が捕まえて撮影したメスのオイカワなんです。

こういうコイ科の小魚も奥ゆかしい品位に満ちており、見る者を魅了します。

⑥b

例えば、近所の小川にいっても釣り竿を垂らせば上記のようなオイカワやウグイが掛かったりしますね。

時には…コイやニゴイ、マルタウグイのような大物が掛かるかもしれません!

更にナマズなんて掛かったら……それはもう驚愕です!

 

普段から釣りを趣味としている人は「ここにどんな魚がいるか」はよく知っているものですが、釣りをしない人からすれば「こんな小川にナマズが棲んでいるんですか!?」って仰天する方も多いものです。

釣り人なら「ナマズの大物は65cmだ!」、「いや60cmで十分大物だよ!」、「何を言っている!70cmからがナマズの真のランカーだ!」と、すぐそう路線になってしまいがちですが(笑)、現代社会において40cmもあるナマズを見たら、日頃釣りをしない人はまず驚くことでしょう。

そこはやっぱり、釣り人目線とは違うんです。

ですから、「ファミリーフィッシング」では釣りをしたことのない人に釣りを楽しんでもらうのが前提ですから、釣れる魚の大きさ問わず、大人が生きた魚に子供たちを触れ合わせることの方が大事。

そういう環境を早くに作れるか作れないかで幼少期の釣り体験=思い出の形成は変わってくるとも思うんです。

大人になるまで魚釣りとは無縁だった人がある日突然、自分ひとりの力で自然に開眼し、コアな釣り人に急成長してしまうとは「魚釣り」に関しては私は到底思えません。

やはり段階を踏んでいかないと、“真の釣り人”にはたどり着かない。

「魚釣り」はキッカケがないと、自分ひとりではなかなか勝手にはじまらないんですね。

ですので昔、「魚釣りに連れて行ってもらったなぁ~」とか「あのとき楽しかったなー」とか、なんらかの魚にまつわる良い意味での思い出がないと、このご時勢、楽しい趣味や遊びがありふれた時代に社会人になってから自分ひとりでわざわざ魚釣りに新規にハマれる、ということもとても少ない時代だと思うんです。

 

なので、子供相手、初心者相手のそんな時にはいきなりルアー釣りだなんて言わずに。

敷居は低く、小さくても何の魚でもいいから何匹か釣れますように。

釣り経験者が、ぜひ釣ってもらうためのお手伝いを優しくしてあげてくださいね。

小さくても、「釣れたらうれしい」が人の素直な感情です。

海釣りならば、サビキ釣りやアオイソメをセットした“ちょい投げ”で、まずは魚に触れ合える環境を周囲の大人や親たちがどうか作ってあげてください。

 

 

例えばー。

家から海までの距離が遠くてわざわざ海に行くのが億劫でしたり、先の東日本大震災被災地においては津波の事例もありますので、海は怖いから行きたくないけれど魚釣りはしてみたいかな…というやんわりと魚釣りに興味を示してくれている心情を持っている方も世の中にはたくさんいらっしゃることも私は知っています。

 

そんなときには、管理釣り場や釣堀のニジマス釣りもいいと思いますよ!

⑦

魚という生き物は海水だけでなく、淡水にも生息しているのですから!

それに命を無駄なく、美味しく調理していただくことも大人が子供たちに教えるべき大切な教え。

⑧

命の流れも食を通して体感させることも食べ物を大切にする食育につながります。

近年の管理釣り場は安全かつ清潔な環境の中で魚釣りが楽しめ、ついでに食事処や遊び場もあったりするので、レジャーとしての施設にも恵まれています。

 

釣りにハマリ過ぎた“マニアな大人”にはちょっと物足りなくても、初心者や子供たちにとってはそれでも十分に楽しめる環境だったりするものです。

最初のキッカケは、正直どこでもいいと思うんです。

そういう経験の積み重ねが、将来の「アングラー誕生!」につながっていくと思います。

 

 

 

さぁ、私にとっての例年ですとー。

9月はシイラを追って、碧くも、凪の大海原にポッパーやペンシルベイトを思いっきり投げるのが一番好きで、そのついでに「マツダイいないかなぁ~」と、いつも偏向グラス越しにマツダイ探したりするのが好きです。

元々は「トップウォーターの釣り」が純粋に好きなんですね。

⑨

ルアーの中で一番好きなルアータイプはなんですか?と聞かれたら、それはもう「ペンシルベイトです!」と、今でも即答です。

えっ!? ワーム?

ワームは、スプーンと共に二番目か三番目を争います(笑)

トップウォーターの釣り。

水柱を立てて、魚が「ガバッ!!」とルアーに襲い掛かるとやっぱり興奮しますからね。

 

シイラを釣ることで自分が投げたルアーを魚が追っかけてくる興奮は一番、視覚に、脳に、ダイレクト響きます。

このシイラ釣りは16歳、つまり私の場合には19年前も昔となってしまう高校1年生の頃からやっている釣りですが、魚が泳いでいるのが目に見えるし、魚の進行方向に向かってルアーを投げて追わせて喰わせる釣り。

しかも、飛び交うルアーをシイラはチェイスを繰り返すたびにどんどん賢くなって最終的にはルアーにスレて見切るようになる…という魚の摂理的な行動を自分の目で見てきたことにより、今につながるその後の「ルアー釣りのイロハ」をずいぶんと学べたものです。

⑩

トップに出ないときにはフローティングミノーやジャークベイトの出番。

これでまた釣れる!!

いずれにしても「こういうことが水中では実際におこっているんだな」、という視覚情報が確信として記憶にあるから、魚が掛かるまで“ノー感じ”が続きやすい春のサクラマスの釣りだって、的確にイメージを維持しているから毎年釣ることができているんですね。

だから、自分の中では魚釣りはすべて繋がっています。

トップのシイラ釣りも、ワームのロックフィッシュの釣りも、スプーンのサクラマスの釣りもすべては自身の中で繋がっている、というわけです。

 

【魚が直接見ない釣り】といえば、ロックフィッシュだってそうですよね。

だけど、根や海藻の位置を把握することで水中を3Dスキャンするごとく、「考える」ことで立体的なイメージをすることは可能なわけです。

これがブラインドサイトと呼ぶ、ロックフィッシュゲームでの釣り方の極意のひとつなんです。

それと! 最後には妄想が大事です(笑)。

 

釣り雑誌では「考えるロックフィッシュゲーム」という連載を担当させていただいていますが、仮に魚そのものがシイラのように目に見えない釣りであっても…海の中を考えて釣ることの大切さとその楽しさを知ることでロックフィッシュの釣りへの理解が深まりますように、とお伝えしたくってそう願いつつ毎回お届けしています。

⑪

毎回、釣る場所や挑むターゲットは変わっても“釣ってる人間は同じ”なのですから、ロックフィッシュアングラーである読者皆さんへお伝えしたい「根底にある大切な部分」というのはいつまでも変わらないものなのです。

 

 

というわけで、またまた話は脱線しつつもシイラ釣りから覚えたことは数知れず。

魚の美しさといい、今でもとても好きな魚のひとつになっています。

私にとっても、9月はそんな季節です。

 

⑫

台風や低気圧が来なければ、今月も多くの魚が釣れ盛る好期です。

どうか今月も、皆さん良い釣りをなさってくださいね!